VOC浄化装置

上述のFRP連続分解装置には通常VOC浄化装置が付属している。連続分解装置の中では巨大分子の裁断化が起こり、裁断化された分子は十分な酸素(空気)の存在下では完全燃焼してH2OとCO2となる。しかし、処理するFRPの量が多くなると酸素不足がおこり、未反応ガスはVOCとして放出される。これがVOC処理装置を必要とする理由である。以下に、TASC法に基づく我々の最新VOC浄化装置を紹介する。

ガス状のVOCをTASC法で分解する基本的な装置構成としては、図1に示した触媒担持ハニカムをヒーターで加熱したハニカム群を通過させるシステムである。我々のシステムの特徴はヒーターをハニカム内に内蔵し、熱効率を飛躍的に高めたことである。

 

溝付き触媒担持ハニカムの作製とヒーターの組み込み

図6(a)は130×200×30 mmのCr2O3担持ハニカムにW型形状のヒーター(外径:約8 mm)を埋め込んだ触媒ユニットである。このユニットを積層し、この中にVOCガスを通過させ、分解する構造である。触媒システムの内部構造を図6(b)に示す。システムはPart 1(24 cm)とPart 2(16 cm)から構成され、前者には図6(a)のユニットが6段とヒーターが付いていないハニカムを2段、また後者はヒーター付ハニカムが2段とヒーターが付いていない50 mm厚のハニカムが2段装備している。通常使用では、Part 1の6段のみを点灯(1.8 kW)し、ヒーター7,8は補助である。温度はTC1 (thermocouple 1: 熱電対1)でモニターし、Part 1の温度を350-500 °Cに制御する。必要に応じてTC2も使用する。本触媒システムを断熱材で包み、ケースに入れたのが図6(c)である。大きさは210×270×560 mm、重量は20 kgである。VOCの処理量は1 m3/min程度であるが、熱交換器を装備することにより、効率は数倍上がることが確認されている。

VOC浄化装置1

(b) 触媒担持ユニットを積層した触媒システムの模式図

VOC浄化装置2New

(c) VOC浄化システムの外観図(210×270×560 mm、20 kg)

VOC浄化装置3New

図6 (a) ヒーターを内蔵した触媒担持ユニット(130×200×30 mm)、(b) 触媒担持ユニットを積層した触媒システムの模式図、(c) VOC浄化システムの外観図(210×270×560 mm、20 kg)

新たに3機種の小型VOC浄化装置を開発しました。

VOC浄化装置揃い組

VOC浄化装置の機種の詳細については、製品一覧カタログのダウンロードページをご覧ください。

 

詳細は下記の解説論文を参照

  1. 水口 仁:
    強化プラスチックス、新規なFRPリサイクル法の提案 -半導体の熱活性によるFRPの完全分解とリサイクル -59, 248-255 (2013).
  2.  水口 仁, 塚田祐一郎、高橋宏雄:
    酸化物半導体の熱活性を利用したCFRPの完全分解とCFのリサイクル, 廃棄物資源循環学会誌, 24, 379-388 (2013)
  3. 水口 仁、塚田祐一郎、高橋宏雄:
    半導体の熱励起による酸化力の発現とFRPのリサイクルプラスチック、半導体の熱励起による酸化力の発現とFRPのリサイクル, No.11, 28-33 (2013).

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